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シンプルなデザインの爪止めリングです。アームの部分は6mm
の角線を2.1mmまで伸ばして、中絞りの細工を施しました。腕
の断面はかまぼこ型です。石座は角線を2mmの板まで伸ばして
から、石の外縁に合わせて形を作っていきます。ロウ付け後、
更に石の形にピッタリ合うように、内縁を石を合わせながら、少
しずつ写し取るように削っていき、最終的に肌に石底が付く位ま
で、石が沈む所まで合わせます。一見分からないのですが、カボ
ッションの石は、正円や正楕円形ではなく、歪な円や楕円である
事の多い為、バランス良く指輪として作り上げるのは至難の技で
す。出来るだけ歪感を感じさせないように、爪の位置や、長さを
それに合わせて変えて作ることで、石の歪さを感じさせない仕上
がりになります |
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裏から見た写真です。石底をしっかりと見ることが出来ます。
取り込む光の量が多いのもこの作りの最大の利点だと思います。
石座は、石の大きさや形によって、厚みを変える必要があります。
この石の場合は、石あわせで削る部分が沢山ある事が予測された
為、通常0.5mmあれば事足りる石座の厚みを1mmまで厚くしま
した。天然無処理石の魅力を存分に味わっていただけるシンプル
なリングです。
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大粒の石の場合、出来るだけリングの高さを低くする事で、より
カジュアルにご使用いただけます。ルースの高さがあればあるほ
ど、低くセットする事が難しくなります。これを成すのに、大変
な集中力が必要です。正直、ホント疲れるんですよ、。でもこれ
を成し遂げた時の喜びもひとしおです!この技は、一見して分か
る物ではないのですが、とても重要な技なのです。これをしっか
りする事で、石が落ち着いて、リングとの一体感が増すのです。
爪留めの場合は、爪の大きさや形がポイントです!これが石に馴
染む形であるのと無いのとでは、デザイン全体のクオリティーに
大きな差がつきます。出来るだけ、カボッションのラインに沿う
爪にする事で、より繊細でスマートなリングに仕上がります。 |
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この石は、非常に難しい石でした。・・と言いますのは、通常、
カボッションカットの場合は、サイドから見ますと、カボッシ
ョンと石底の境の部分のふくらみが一番大きいのですが、この
石の場合は、境の部分よりも下(底に向かって)の方が膨らん
でいた為、カボッションの部分まで沈める為には、石座をえぐ
るような形にする必要があります。物理的に不可能な為、石座
の側面が一部削られるような、ラウンドしたラインとなりまし
た。(石が皮膚につくようにとのご要望があったため)それで
も、全体的には、歪感はなく、美しいラインのリングに仕上が
っています。 |